保育分野コラム

保育士の定義
保育士とは、保育所や児童福祉施設にて子どもの保育を行う人のことを指します。
一般的には乳児から小学校入学前までの子どもを施設で預かり、親が迎えに来るまでお世話をする人、という認識の方が多いかもしれません。
しかし「保育」というのはただ単に世話をするだけではなく、心身の発達のために色々な経験をさせたり、他人との関わりを通して社会性を身につけさせる、また食事や睡眠などの基本的な生活習慣を学ばせるという意味合いがあります。
そのため保育士は子どもが今後一生を生きていくにあたりとても重要な役割を担っていて、責任もありますがやりがいもある職業です。
保育士の定義
保育士は国家資格が必要な職業なので、まずは国家資格を得る必要があります。
保育士資格の取得方法は大きく2つあり、1つは専門学校や短大、大学等の厚生労働大臣の指定する保育士養成施設で決められた課程を履修すること。
もう1つは年2回実施される保育士試験に合格する方法です。

保育士試験の受験に特別な条件はありませんが、例年合格率は20%前後とかなりの難関です。
一次の筆記試験が9科目で範囲が広いこと、またその年の問題の難易度に関わらず合格ラインが変化しないため、若干の運にも左右されます。
二次試験が実技となり、こちらは90%近くが合格していますが、10人に1人はまた難しい筆記を超えなくてはならないため、資格試験から保育士になるのはかなり難しいと言えます。

一方で国の指定養成施設へ進学する場合は、卒業するだけで資格を得ることができます。
在学年数としては2年制~4年制までありますが、いずれも同じ条件で国家資格を取得できます。
専門学校、短大、大学の中でどれが一番いいかについては、人ぞれぞれです。
専門学校は保育分野の関連知識に集中したカリキュラムのため、短期間で学費も抑えながら保育士を目指せます。
一方で大学は4年間ですが一般教養も広く身につける必要があるため、長期な上に単位取得も苦労しますが、初任給は2年制等に比べれば高い傾向にあります。
短大はそれの間という感覚ですが、大学の学びを2年に凝縮することになるため、かなりの忙しさとなるでしょう。

就職先は一般的に保育所(保育園)が多いですが、昨今では働く女性が増えていることから各所に託児所が設けられ始めています。
そのため勤務先のこだわりさえなければ就職先は多いでしょう。
ただし平均年収が300~400万円ほどと他業種に比べるとそれほど高いわけでは無いので、勤務条件と給与のバランスは就職前にしっかり確認しましょう。
保育士の仕事内容
保育士の仕事内容は定義でも触れましたが、子どもを保育するのがメインの業務です。
もちろん子どもを安全に預かるというのが第一ですが、楽しく遊ばせたり色々な経験をさせたり、会話や遊戯を通して思考力や感性を伸ばす工夫が必要です。
また時には保護者の方へ育児に関するアドバイスを行う保育のプロとしての役割も果たします。

勤務先によっても当然内容は変わってきます。
保育園であれば朝の開園から園内の掃除やスケジュールの確認、子どもたちの登園後は身の回りの世話を行いながらプログラムをこなし、閉園時間付近では保護者のお迎えを待ちます。
場合によっては予定時刻より遅くなる場合もあり、帰宅時間はまばらであることが多いようです。
乳児院という保護者のいない子どもを育てる施設では、ほぼ親の代わりとして子どもたちを育てていきます。
毎日をシフト制で対応していくため夜勤もあります。また保育士以外の栄養士や看護師、臨床心理士などの職業も一緒に働いていることが多いです。
他にも病棟保育士や児童養護施設、企業内やデパートの託児所など、保育士の勤務先は多岐に渡り、細かな仕事内容も変わります。
ただしいずれも「保育」を行うことには変わりありません。
幼稚園教諭との関連性
保育士と幼稚園教諭は領域が非常に似ているため、幼保と併せて呼ばれることも多いです。
また保育士を目指す人、幼稚園教諭を目指す人でも両者の違いをハッキリ把握している人はそれほど多くありません。 まず決定的に違うのは、保育園が福祉施設であるのに対し、幼稚園は教育施設であるということです。
対象年齢も違えば保育時間等の勤務環境も大きく異なります。そして管轄も保育士が厚生労働省、幼稚園は文部科学省です。
簡単に言えば保育園は幼児を預かり生活の面倒を見る施設ですが、幼稚園はどちらかといえば学校と同じで、音楽や体育の授業に似たプログラムが組まれます。

また保育士は資格なのに対し、幼稚園教諭は免許であり、資格試験で取得できるのは保育士のみとなります。幼稚園教諭の免許を取得するには指定の養成施設で学ぶ必要があります。
ただし昨今ではどちらの資格・免許も取得する方が増えており、専門学校でも2つとも取得できるカリキュラムが増えています。
どちらも取得しておけば就職先が広がりますし、「認定こども園」という保育園と幼稚園の中間のような施設で働くことも可能になります。
年収等はどちらも勤務先によって大きく異なるので、どちらがより優れている等はありません。